幽霊優先道路

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「今日は一日、晴天で」 「ええ、本当に。農家の方にとっては、そろそろ雨が欲しい所ですね」 「では明日の天気……」  男女のアナウンサーの声が流れた。 「晴天?」  私はタクシーから降り星空を見上げた。  さっき激しい雨が降ったばかりじゃないか。  そのまま目線を移動させ、アパートの自分の部屋のドアを眺める。  なぜか「空室」とあった。  私が住んでいるはずなんだが。 「あの辺りでタクシー止めるの、もうやめてください……」  運転手は言った。  ハンドルを握りしめた手がブルブルと震えている。 「え……何かご迷惑でしたか?」 「成仏してくださいいい」  タクシーのドアはバタンと閉まった。  発進したタクシーは、スピードを上げて遠ざかった。    終
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