さようならのタイミング

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 兄弟どちらとも城下によく顔を出し、皆に慕われて、あわよくばお近づきになりたい、と考える女子は少なくないだろう。  そんな思惑から逃れるためなのか、ただ単に幼馴染みだからなのか、は分からないけれど、ダニーは何かと私と、もう一人の幼馴染みロベルトの暮らす地区へとひょっこりと現れる。  何をするでもなく、私の畑作業を眺めていたり、時々、突然手伝いたがったり、歌を歌ったりするダニーの姿を見るのは好きだし、ずっと眺めていたいと思う。  何の知らせもなく、何日も姿を見ないと不安になるし、とても会いたくなる。  彼の声も、彼の笑顔も、泣き顔も、全てが大好きで大切な私は、だいぶ、ダニーが好きなのだと思う。  けれど、私は忘れてはいけない。  ダニーは、たとえ幼馴染みであっても、この国の第二王子ダニエル公だということを。 「ダニーに、縁談?」 「そうなのよぉ。隣国のお姫様らしいんだけどねぇ!それがーー……」  少し前に、花の収穫作業をしていた時に、井戸でばったりあった近所のお母さんが、楽しそうな顔をしながら自分が聞いた話をそこにいた人たちに話していた。  数ヶ月前に、第一王子であるお兄様のご婚約が決まったばかりだ。ダニーにそういった話があがっても、おかしな話では無い。  ましてや、あの見た目と、物腰の柔らかさだ。     
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