さようならのタイミング

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 お相手のかたも、すぐにダニーを気に入るに違いない。  そうなったら、私は、もう彼をダニー、と気軽に呼ぶことすら、許されなくなる。  誰かに言われて、諦めるくらいなら、自分でケジメをつけて諦める。  そう決めた私は、あの噂話から数日後、ふらりとやってきた彼に、ついさっき長年の想いを告げた。 『大好きです』  たったそれだけの言葉を告げるのに、心臓が破裂しそうだった。  ずっと想い続けてきたから、簡単になんて言えなかったし、ましてや、じいと見つめると「どうしたの?」なんてすぐに気がついて私を見るから、覚悟が揺らいでばかりいたけど、何とか、言えた。  大好き。  大好きよ。  愛してる、に近いのかも知れない。  貴方が幸せになってくれれば、それでいいの。  私の想いが叶わないこと。  こればかりは、仕方のないこと。  だって私は、ただの一般的な庶民、なのだから。     
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