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「由美は三歳の時、母親をガンで亡くしたんだ。以来、俺はあいつに望むものを何でも与えた……母親の愛情の代わりにな。結果、あいつはどうしようもないクズになっちまったよ」
恵一は言葉を止め、自嘲の笑みを浮かべた。
「桑原、俺には大勢の子分がいる。そいつらの面倒を見なくちゃならねえ。これ以上、由美に足を引っ張られる訳にはいかないんだ。由美は、死んだと思うことにするよ……ところで、青島のガキはどうするんだ?」
「あいつの身柄は押さえてあります。いずれ、タコ部屋送りになりますよ」
「タコ部屋? そんなんで済ませる気か――」
「いいえ、そんなんじゃ済みませんから。奴は、生まれてきたのを後悔することになりますよ……ちなみに、奴の本名は青山だったそうです」
「青山?」
「ええ。本名と一字違いの偽名を名乗り、由美さんに近づいたんです。本当に、バカな奴ですよ」
・・・
青山は、目を開けた。
汚い壁が見える。ここはどこだろう……彼は、上体を起こした。いつのまにか、大きなベッドに寝かされていた。
ここ数日の記憶が、完全に途絶えている。ここがどこで、自分は何をしていたのだろうか。
最後の記憶は、知り合いの車に乗っていたはず。直後、何かを飲まされた――
「お目覚めかな」
不意に声が聞こえ、青山は振り向いた。
そこにいたのは、尾形恵一であった。パイプ椅子に座ったまま、冷たい目で青山を見つめている。
「あ、あんたは――」
「尾形由美の父親だよ。お前は、由美をポン中に変えた挙げ句に鼻と前歯をへし折った。だから、償いをしてもらおう」
「ま、待て――」
言いかけた瞬間、青山の顔が歪む。胸のあたりに、強烈な違和感を覚えたのだ。
自分の胸元を見た瞬間、表情が凍りつく……そこには、巨大な乳房が付いていたのだ。
「よかったなあ、女体化できて」
恵一の言葉に、青山は我に返り股間に触れてみる。だが、あるべきはずのものがない。
青山の顔は、一瞬にして青ざめていく……。
「お前はこの先、その体で償うんだ。おいおい、そんなに心配しなくていい、たっぷり可愛がってもらえるよ……何せ、ここの連中は女に飢えてるからな」
・・・
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