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「光?」
「そうだよ。光はこの世界の希望なんだ。もしもこの部屋の闇が宇宙だとしたら、この明るい電球のようにその星は僕らに生きた光を与えてくれるんだよ」
青の瞳の中に丸い光の粒が燃えている。
「俺は名前が"正明"だからそんな感じがするのかも。青は物知りだからな。俺にはよくわからないけど」
正明は唸るように言った。
「正明は僕よりも人間のことを知ってるじゃないか。僕は正明が不思議でたまらないよ。正明も叔父さんも叔母さんも、みんながみんな、その星の様にいきていてお互いを照らしているじゃないか」
青は電球から目を離して少し興奮した様に正明を見た。正明は初めて青がたくさんしゃべるので、驚いた。
「それが羨ましいの?」
その正明の問いに、青は何も答えなかった。
「ねぇ青。青がうちに来て、父さんも母さんも俺もすごく嬉しいんだよ。じいちゃんだってそうだよ。青がいて楽しかったと思うよ」
青はその夜それっきり、何も喋らなかった。
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