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「先輩喉乾いてませんか?」
「あぁ。冷蔵庫に、ペットボトルの水、アイスコーヒー、
あとはビールあるよ。」
「では、お水いただきます。先輩は?」
「じゃ、ビール。」
蒼弥は薄いタオルケットを羽織りながら
キッチンへ向かう沙織の後ろ姿を
愛おしげに見つめた。
二人は喉を潤し、またベッドに横たわった。
沙織は仰向けになり天井を眺め
気になっていたことを聞いた。
「あの・・・ご家族とは別居されたんですか?」
同じく天井を見ていた蒼弥は
沙織に顔を向けた。
「そう俺、家出たんだ。」
「なんでですか。」
「沙織が好きだから。」
蒼弥は
まるでそれが当たり前のことかのように
そんなことを言った。
10年前、同じ部屋では聞けなかった
蒼弥の気持ち。
今になって聞くことが出来るなんて・・・。
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