第9章:戻れない

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けれど、沙織は 嬉しい反面、襲いかかるこの大波から 逃げよるように舵をとった。 「わ、私は、同じことはきっと出来ません。」 レースのカーテンから漏れる夕日の光と 沙織の携帯のアラームが帰る時間を知らせた。 「あ、もう行かなくては・・・」 そう沙織が言うと、 蒼弥の態度は一変した。 「なあ、あれから旦那に抱かれたの?」 「え?」 沙織が、答えられずにいると、 「抱かれたかって、聞いてんだよ。」 と、蒼弥は声のトーンをあげた。 そして、近くにあったスマホの電源ケーブルをコンセントから抜き 沙織の腕を縛り始めた。
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