第1章:10年ぶりの再会

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しかし それは紛れもなく 風間蒼弥(かざまそうや)だった。 緩めのパーマがかかったマッシュベースのツーブロック。 前髪がかかる目蓋の先についた長く太い睫毛、 その下にあるヘーゼル色の瞳。 日本人離れした美しいフェイスライン。 灰色と白のボーダーのTシャツと、 黄色のアンクルパンツがよく似合う 180cmの長身で引き締まった体格。 寒さをしのぐために羽織っているタオルでさえ、 決まって見えるほどの「なんでも似合う」プロポーションだ。 沙織の記憶の中にある 蒼弥の風貌と取り巻く空気が 10年経っても変わっていなくて 当時と同じテンポの鼓動を胸の中で蘇える。
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