第1章:10年ぶりの再会

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蒼弥は沙織の2つ上の先輩で 二人は同じ大学のサークルに所属していた。 「えー、すごーい、外資の金融で働いてるんですねー」 「彼女さんとかいらっしゃるんですか?」 「結婚してますよ。子供も一人います。」 「えー 見えないですねー」 15mほど離れた沙織たちに 聞こえるか聞こえないかの音量で メイクたちと談笑する姿さえも 女性にひたすらモテていた学生時代と重なる。 誰もが勘違いしてしまいそうなキラースマイルに スマートな会話の進め方、 同じ空間にいたのなら、 いつだって目が離せないほどの 引力の持ち主。 そして今も沙織が無意識に 目を向けてしまったところに 二人の視線が合った。 すると 蒼弥は無音で「沙織」と小さく口を動かし、 微笑みながらまっすぐに沙織の顔を見つめた。
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