第1章:10年ぶりの再会

10/16
前へ
/226ページ
次へ
「ちょっと二人で話してきなさいよ。」 「え、でも。」 「いいから、いいから。」 沙織は香山に押され ゆっくりと蒼弥の方へ歩く。 すると蒼弥は、 律儀にメイクたちに断りを入れながら、 沙織の方へ駆け寄って来た。 「よっ。」 「・・・」 「久しぶりだな?」 「・・・な、なんでここにいるんですか?」 挨拶なんてしている余裕なんて無く、 思わず心の中の叫びが口から溢れる。 「見ての通り、雑誌の撮影だけど。」 「そうではなくて・・・」 「この間、六本木のバーで飲んでる時、 隣に座ってた内田さんにスカウトされちゃってさ。 こういうのは お前が知っているように興味ないんだけど・・・ 文花社って言われて 沙織の職場じゃないかと思って。 聞いてみたら同僚だって言うから、 それならやってみようかな、と」 そう笑いながらいう蒼弥の言葉を 沙織は下を向き冷静を装いながらも 酷く動揺しながら聞いていた。
/226ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1259人が本棚に入れています
本棚に追加