第15章:幸せに近づく

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「そっくり?」 「気づいてなかった? お前ら、本当似てるよ。 二人とも欲望のままに主導権握りたい側の人間じゃん。 俺は握られたように見せて、 裏で転がすのが好きな人間だから。」 「なんだよそれ。」 「ま、また飲もう。 俺次のクライアントとのとこいかなきゃいけないから、またな。」 「わざわざ届けにきてくれてありがとう。」 「おう、心の友のためだしな。」 「相変わらずキモいな。」 「おい。そういうこというなら返せ。」 「うそうそ。」 「それがうそだろ。」 「さすが。」 良平と少しふざけたあと、 蒼弥はご機嫌で、そのまま区役所の中に入り、 渡された離婚届を提出した。 手続きは思っていたよりもあっさりしていて、 本当に今日で離婚したと言う実感がなさ過ぎて ふと一人で笑ってしまった。 「あー、一杯飲んでから仕事戻ろう。」 昼間から空いているバーで、 生ビール一杯を頼み、 一気にそれを飲み干すと、 タクシーを拾い六本木ヒルズへと戻っていった。
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