1259人が本棚に入れています
本棚に追加
沙織はその言葉に恐縮し
口をもごもごさせ
返事に躊躇していると
「風間さん、次なので、準備お願いします。」
と、撮影現場の方から蒼弥を呼ぶ声がした。
空気を読むことがうまい蒼弥は
つり上げた目尻を一瞬にして緩め、
「はい」と、返事をした。
そして 肩にかけていたタオルを沙織に手渡しながら、
左の耳元で大きくため息をつき囁いた。
「悪い子じゃん、沙織」
低音の声と
生暖かい息が感度の高い耳を刺激して
沙織は体の奥からじわりと溢れるものを感じた。
最初のコメントを投稿しよう!