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「河本さんって、風間さんとお知り合いなんですね」
蒼弥がカメラマンの方へ向かうと
さっき蒼弥と話していたヘアメイク二人が沙織の方へ近寄ってきた。
「大学の時の先輩なんです。」
「えー、元彼とかですか?」
メイクたちから逸らした視線が
撮影中の蒼弥のとぶつかる。
咄嗟にメイクたちの方に
視線を戻し
「そんなんじゃないですよ。」と答えた。
「じゃ、私ちょっと狙ってみようかな」
20代前半の若手メイクのアリスが嬉しそうにそう言った。
彼女は日本人とフィリピン人のハーフで
とても可愛らしい顔をしている。
150cmの低身長も男子受けが良くて、
ラブリーな服がよく似合っている。
「え?
さっき結婚してるって言ってたじゃん。」
もう一人のメイクが笑いながら言うと、
「あんなにいい男なら結婚してても別にいいわ。
愛人にしてもらいたいなぁ。」
とアリスは目をギラギラさせていた。
最近の子の恋愛観って理解できないな、と沙織は思った。
同じ年齢のころの沙織は、
結婚という誰かの一番になれる安定剤が欲しかった。
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