第1章:10年ぶりの再会

14/16
前へ
/226ページ
次へ
蒼弥の撮影は15分ほどで終わった。 時折、アリスが必要以上にメイク直しと言い 蒼弥に近づいて何やらニコニコしながら話しているのを 沙織は横目で見ていた。 「お疲れ様でした。 今日の写真は来月発売の7月号に掲載される予定です。 決まり次第内田の方からご連絡差し上げますね。」 沙織は蒼弥が着てきたパーカーと 貴重品を手渡した。 「またね。」 不敵な笑みを浮かべた蒼弥が そう告げると、 沙織は唇を強く噛み、深く頭を下げた。 公園の出入り口に一人向かう蒼弥に アリスが駆け寄り  少し話しているのがちらりと見える。 なぜだかその光景に 沙織の胸はチクリと鋭く痛んだ。
/226ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1259人が本棚に入れています
本棚に追加