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昼前に全ての撮影が終了し、
沙織は1秒でも早く家に帰りたいと思い、
大手町駅から
出発直前の半蔵門線の電車に乗りこんだ。
ドア付近の手すりをつかみながら
一息すると、
蒼弥のことを、
無理矢理頭から消すように
ここ10年間のことを思い出していた。
夫である義昭と初めて会った日のこと。
プロポーズ、結婚式、
妊娠、出産、子育て。
暖かくて平凡な日々を巡っていくが、
なかなか二子玉川駅につかない。
(早く着け・・・早く)
次数々の思い出を重ねても
完全に上書きが出来ないほどの
蒼弥の圧倒的な存在感に焦る。
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