第1章:10年ぶりの再会

15/16
前へ
/226ページ
次へ
昼前に全ての撮影が終了し、 沙織は1秒でも早く家に帰りたいと思い、 大手町駅から 出発直前の半蔵門線の電車に乗りこんだ。 ドア付近の手すりをつかみながら 一息すると、 蒼弥のことを、 無理矢理頭から消すように ここ10年間のことを思い出していた。 夫である義昭と初めて会った日のこと。 プロポーズ、結婚式、 妊娠、出産、子育て。 暖かくて平凡な日々を巡っていくが、 なかなか二子玉川駅につかない。 (早く着け・・・早く) 次数々の思い出を重ねても 完全に上書きが出来ないほどの 蒼弥の圧倒的な存在感に焦る。
/226ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1259人が本棚に入れています
本棚に追加