第1章:10年ぶりの再会

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やっとのことで 家に戻ると、 リビングルームでは 子供たちと義昭が 3人でUNOをして遊んでいた。 いつもの ほのぼのとした空気に 沙織はホッとする。 夕飯はみんなでシチューを作り、 義昭が子供達をお風呂に入れ 寝かしつけてくれた。 その後は、 ゆったりとした夫婦二人の時間が流れる。 「しよっか」 週末はだいたい義昭のその言葉で夫婦の営みの時間になる。 普通であるならば、 10年の一緒にいる夫に いまだ女として見てもらえることを 喜ぶべきなのだろう。 しかし 義昭からどんなに抱かれても、 沙織の体は絶頂を感じることが出来ない。 満たされている 満たされている 満たされている、と 頭の中で 何回も呪文のごとく唱え、 悦ぶふりをしながら、 相手が果てるのを待つ。 沙織は絶頂を知らないわけではない。 ただ 一度知ってしまった 極上の蜜の味以外は 全て無味で、 義昭のセックスは 本当に 透き通るように透明で綺麗な天然水なのだ。
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