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日本橋の文花社ビル前でタクシーを拾った蒼弥は
六本木までの車中、
30件の未読の表示があるラインのアプリを開いた。
30件全て妻の麗華からのメッセージだった。
内容は、仕事帰りに買って来てほしいもののリスト。
毎日のことだ。
「一件にまとめろよ」
蒼弥はイラつく心中を
つい独り言で吐き出した。
そこにまたメッセージが入った。
「今週の土曜日、例の女子会でまた出かけるので、
蓮をよろしくね。」
麗華が出かけることは
どうでもよい。
けれどまだ2歳の蓮を自分だけに任せ、
家での仕事の邪魔や、自由を奪われることが
苦痛でたまらなかった。
だからといって、
それに対して反論するほうが
面倒くさいと
蒼弥は
「わかった」
と打ち、スマホから目を離した。
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