第2章:それぞれの不満

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蒼弥は六本木ヒルズに入っている ラッカーズ証券と言う外資系投資銀行で働いている。 海外勤務も含め数々の投資銀行を巡り、 3年前にヘッドハンティングされ入った。 麗華と出会ったのは ラッカーズ証券に入った数ヶ月後に 部下に誘われて行った合コンだった。 そこには 麗華の他にも 読者モデル、女優、アイドルの卵だと言う 華やかな女性達が5人ほどいた。 それなりに稼ぎ、それなりに遊んで来た蒼弥にとって そのレベルの女性とのコンパは珍しくない。 しかし、このような会では いつもどうせ、 一晩以上の女には巡り合えないことも分かっていた。 次の日も早いし その場をそれなりに楽しみ帰ろうとしたところ 麗華に捕まり、そのまま一晩共にした。 特に性格も、体の相性もよくなかったが、 麗華との恋愛感情のない付き合いが楽で、 セフレのようにたまに会っていた。 しかし、出会って3ヶ月、まだ数回しか会っていないまに 妊娠が発覚した。 ピルを飲んでいると言った彼女に騙された形だったが、 当時の蒼弥は 仕事以外、全てがどうでもよいというメンタルだったので、 深く考えずに結婚した。 最初のうちは 読者モデルで、見た目も美しく、若い妻は 友人や同僚に紹介する妻としては最高で、 まるで皆が欲しがる高級時計を手にしたような気持ちだった。 だが 結局本当に、外面だけだったな、 と蒼弥は彼女と過ごす中思っていた。
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