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その夜は仕事を早く切り上げ
六本木ヒルズの下にあるバーで
ショットを飲むようにジントニックを2杯飲み干し帰宅した。
息子の蓮は
いつもは麗華と一緒にベッドルームを占領しているのだが
排卵日だけは
リビングルームにあるベビーベッドで寝かされる。
「シャワー早く浴びてきて」
家に着くなり 「おかえり」ではない言葉が待っていた。
スーツを廊下に脱ぎ捨て
腹立たしく思いながら風呂場へ向かう。
目を瞑り上から降ってくる湯気が出るほどの湯で
疲れと同時に怒りも流した。
性欲がないわけではない。
ただ麗華にだけは
どうしてもそれが湧いてこないのだ。
「沙織」
目を瞑りながら、
その名前を口にし
彼女の表情一つ一つを思い返す。
触れた肌の柔らかさを思い出す。
「はぁ・・・」
そうして体の準備をし、シャワーを出た。
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