第2章:それぞれの不満

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廊下に脱ぎ捨てたスーツを拾いながら ベッドルームへ向かうと、 数万円するであろうランジュリーを着た麗華が ベッドで横になっていた。 モデル体系といえば聞こえは良いし、 服を着れば本当に美しく見える。 しかし こうして金をかけて着飾っても あばらの骨が見える胸元や 抱きしめても 恥骨が脇に刺さるような痩せ具合が 蒼弥は苦手だった。 数回だけならば 好みの体型でなくても 新鮮味がスパイスになったが、 今は興奮材料が何一つない。 「なんで いつもテンション低いわけ?」 麗華は やる気のない蒼弥を見て言った。 「正直疲れてて」 「妊娠ってタイミングが大事なんだから、 それに合わせるのも夫の務めでしょ」 麗華は自分の意見を気にせずはっきりに言う女だった。 そう言う強気な性格も 蒼弥を萎えさせる要因の一つだ。 さっさと終わらせて 寝てしまいたい蒼弥は電気を消し、 想像力で自分を奮い立たせるしかなかった。
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