第2章:それぞれの不満

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外は少し肌寒かった。 「沙織・・・」 「先輩・・・」 沙織はベランダに置いてある椅子に腰をかけた。 沈黙の遠くで自動車が行き交うような騒音がした。 「外ですか?」 「うん。歩いてる。沙織は?」 「私もベランダにいます・・・。」 「会いたい。」 「なんでそんなことばっかり・・・」 「沙織が 俺の押しに弱いこと知ってるから。」 「読者モデルの 綺麗な奥さんだっているらしいじゃないですか」 「あぁ・・・知ってたんだ。」 「今日、会社で耳にして・・・」 「ふーん。 まぁ、そうだな、綺麗だよな。」 「・・・」 自分で言ったことなのに、 蒼弥から帰ってきたその言葉にチクリと胸が痛む。 「でも俺たち、求めるものが違いすぎて 噛み合わないんだよ。」 「どう言う意味ですか・・・」 「沙織なら、分かるだろ。」 沙織は蒼弥の言っていることが 分かるようなきがした。 ・・・いや、分かった。 けれど それは口にしてはいけないような気がして、 口を閉ざしたままにした。 「俺、どこで間違えたんだろう。」 そう呟いた蒼弥の声は ちょうど吹いた風で沙織にはうまく聞こえなかった。
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