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沙織にとって10年ぶりに訪れた部屋。
「懐かしいですね。」
「だろ?」
「家具はないんですね。」
「寝るとこだけはあるよ。見る?」
そういうとベッドルームへ案内した。
10年前まではシングルベッド、本棚、机があった部屋に
クイーンサイズのベッドが ドンっと置かれていた。
「大きくなってますね。」
「昔みたいに沙織とくっついて寝るのもよかったけどな。」
「ふかふかそうですね。」
蒼弥がベッドに腰を下ろした。
「おいで、沙織。」
昨日義昭が言ったセリフとほとんど変わらないのに
どうして 蒼弥から発しられた声には
こんなに感情が高ぶるのだろう。
沙織は倒れこむように、蒼弥の腕の中へ沈んでいった。
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