第13章:夏休みの始まり

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ご飯を食べた後、 二人は一緒に風呂に入った。 狭い湯船の中で沙織を背後から抱きしめ、 蒼弥は耳元にそのままの気持ちをぶつけた。 「こうして前みたいに ここに住まないか?」 「え? ・・・先輩、それはなんでも・・・」 「子供なら、連れてくればいい。 沙織の子供なら愛せるかもしれない。」 「そんな無責任な・・・」 蒼弥は沙織を自身の方に向かせ、 腿の上に座らせた。 「じゃ、どうすれば、俺だけのものになんの? 毎日沙織を感じられる生活が欲しいんだ。」 そういうと、沙織のほおを愛しそうにゆっくり撫でた。 「他の男のためにこうやって料理したり 尽くしたりする沙織のことを考えるだけで おかしくなる。」 「・・・」 「な?一緒に暮らそう。」 「先輩・・・考える時間をください。」 「ダメ。すぐネガティブに考えるから。」 蒼弥は沙織の首に息を吹きながら唇を当てた。 「アァっ・・・ンっ」 「あぁ、じゃなくて、 はい、だろ?」 その夜は 蒼弥は沙織の本心を探るように、 沙織は自分の答えを探すように、 朝になるまで何回も体を重ね、 決定的な何かを見出せないまま 日の出とともに眠りについた。
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