第13章:夏休みの始まり

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蒼弥のキッチンには 料理好きの沙織の為に 蒼弥がネット通販で揃えた新品の料理道具が一式揃っていて 沙織はそれを使って料理を始めた。 炊けたご飯、玉ねぎと炒めた鶏肉、卵を焼く甘いバター、 次々と幸せな香りで包まれる。 全てが完成すると、ダイニングテーブルにセットして 二人でいただきますと言って 食べ始めた。 「やっぱ沙織のオムライス、 店出せるくらい美味しいな。」 「大袈裟ですって。」 「久々に手料理食ったなぁ。」 「え?」 「前に、沙織に作ってもらった以来かも。」 「奥様は?」 「作らなかったよ。米だけは炊いてたけど。 子供用の食べ物もほぼレトルトだし。 包丁も先端恐怖症だ、とか言ってて家になかったんだ。」 「そうだったんですね・・・。」 蒼弥の話を聞いていると 彼の結婚生活は 前に一瞬見た麗華のインスタグラムの写真の数々からは 想像できないほど、 冷めたものだったのだろうと、と 沙織は思わずにはいられなかった。
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