1248人が本棚に入れています
本棚に追加
/226ページ
蒼弥のキッチンには
料理好きの沙織の為に
蒼弥がネット通販で揃えた新品の料理道具が一式揃っていて
沙織はそれを使って料理を始めた。
炊けたご飯、玉ねぎと炒めた鶏肉、卵を焼く甘いバター、
次々と幸せな香りで包まれる。
全てが完成すると、ダイニングテーブルにセットして
二人でいただきますと言って
食べ始めた。
「やっぱ沙織のオムライス、
店出せるくらい美味しいな。」
「大袈裟ですって。」
「久々に手料理食ったなぁ。」
「え?」
「前に、沙織に作ってもらった以来かも。」
「奥様は?」
「作らなかったよ。米だけは炊いてたけど。
子供用の食べ物もほぼレトルトだし。
包丁も先端恐怖症だ、とか言ってて家になかったんだ。」
「そうだったんですね・・・。」
蒼弥の話を聞いていると
彼の結婚生活は
前に一瞬見た麗華のインスタグラムの写真の数々からは
想像できないほど、
冷めたものだったのだろうと、と
沙織は思わずにはいられなかった。
最初のコメントを投稿しよう!