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それから二人は少し黙り込み、
注文を取りに来たウェイターに
焼酎の水割り二つと枝豆、揚げ出し豆腐を頼んだ。
義昭は何か言いたげにしていたが
言うか言わぬか迷っているような表情を繰り返し
それに痺れを切らした内田が、義昭に尋ねた。
「義君、何か言いたいことでもあるんでしょう?」
「んー・・・そうだね。さすがフミだな。
なんでもお見通し。」
「ふふ。」
「実は沙織ちゃん、
俺と会う前に多分ずっと好きな人がいたんだ。
その人の分までも
俺が幸せにしてあげようって思って結婚したんだけど
もしかしたら沙織ちゃんは
未だ吹っ切れてないのかなって思うこともあって。」
「そうなの。」
「フミは、沙織ちゃんから何か聞いてない?」
「まぁ・・・なんとなくだけど、忘れられない人がいるとは
聞いたことあったかもしれないわ。」
「そうか。沙織ちゃんも俺にははっきり教えてくれなくて、
名前すら知らないんだけど、
その人の写真だけは持ってて・・・。」
「え?なんで?」
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