第6章:無我夢中

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車を停める時間、 ホテルまで歩く時間、 チェックインの時間、 エレベーターに乗る時間、 そこから部屋までの時間、 全てを早送りしたいほど もどかしくて、 どちらともなく行動がいつもより高速になっているのを感じる。 少しでも早く抱き合いたくて、 焦る気持ちで何度もカードキーを入れるのを失敗し、 やっとの事でドアが開いた。 部屋に入った途端、 二人は扉が完全に閉まる前から 互いの体に無我夢中で飛びついた。 指先、手の平、舌、唇、脚、爪先、 使えるもの全てを使って 相手を感じようと必死に体を弄る。 もっと、もっと・・・。 車中でしたのとは 全く別物のような 獣が餌に食いつくような激しいキスを交わしながら 互いの服を脱がし合い先に進む。 ベッドまで辿り着いた時には二人とも 産まれたままの状態になっていた。 蒼弥は大学時代から細身だが、 ほどよい筋肉がつき引き締まっていて、 綺麗に割れた腹筋は今も健在だ。
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