鳥の色

2/3
2人が本棚に入れています
本棚に追加
/5ページ
 「――ってことで、僕は神様に会って、この世界に青を戻してもらうんだ」  「そうか……。少年、この森から、私が出してあげよう」  「本当?」  「ああ、本当だ。しかし、一つだけ頼みがある」  「……お金なら、あまり持っていないよ」  ふっーとため息をして、鳥は首横に振り、僕に言った。  「金はいい。頼みというのは、私もその神様と会わせて欲しいのだ」  「え?」  「私の、この白い羽を見ろ」  「とっても綺麗だよ」  「ああ、綺麗だ。しかし、私は本来、こんな白い羽ではなかった気がするのだ」  「どういうこと?」  「この世界から、青がなくなってしまったように、私の羽の色もなくなってしまったような気がするのだ。毎日、水に映る自分を見ていると、果たしてこんな色だったのだろうか――と、自問自答を繰り返している。恥ずかしい話だが、私は自分がよくわからなくなっている。しかし、神様なら私の本当の色を知っているはずだ。だから、少年! 私も、神様のもとへと連れて行ってくれないか!」  この鳥も、祖母と同じように、失った色を求めていた。自分の色を失った瞬間から、鳥は自分がわからなくなってしまったと言う。  僕が青を知らないように、この鳥も自分がわからないのだろう。  それは、とても悲しいこと。     
/5ページ

最初のコメントを投稿しよう!