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この小屋には、入室を禁じられている地下室がある。ここに居ないとすれば、魔女は地下にいるはずだった。
ーー倒れているのではなかろうか。近頃の覚束ない魔女の足腰を思い、子供は焦燥に駆られた。そして、地下室の扉を開けてしまう。
なんてことはない、本が沢山あるだけの部屋だった。
一階にも本がある。魔女が買ってきてくれた本は、絵本や歴史書などが多かった。そうやって魔女は、子供に教養を与えてくれたのだ。子供は読み書きも問題なく出来るようになっていた。
地下室にある本は、どれも子供が見たことがない難しい本ばかりだ。
魔術書の類なのだろうそれらに埋もれるようにして、椅子の上で魔女は眠っていた。
魔女が覆い被さる机の上に、写真立てを見つける。古く、埃を被っている。思わず手に取ってしまうと、子供は食い入るように写真を眺めた。
美しい女性が、産まれたばかりの赤ん坊を抱いて、四角い平面に捉えられている。醜い魔女とは似てもなつかなかったが、幸せそうに微笑む女性が、この魔女なのだと子供は強く思った。ヘーゼルの瞳には変わりがない。
「此処には入るなと言ったはずだよ」
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