あの日・・・

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ヤスと私は同じ会社の先輩後輩。 私には付き合ってる彼氏ショウがいた。 お互い仕事が忙しくてなかなか会えなくて お互い付き合いもあったからすれ違いになって 日に日に喧嘩も増えていった。 そんな日々に突然の胸キュン・・・ その日はヤスとペアになり仕事をしていた。 仕事も終わり翌日の打ち合わせも済んだ時、ヤスが静かに口を開いた。 「お前、この後暇?」 今まで何回も世間話や他愛ない話はいくらでもしてきた。 けれどこんな事を言ってきたのは初めてだった。 疑問を抱きながらは私は答えた。 「んーまぁ暇かな?」 するとヤスはうっすら笑いながら 「男のとこ行かないの?」 と言ってきた。 ショウとヤスは地元も同じで、尚且、中学まで同級生だった事もあり、それなりに仲が良い。 それが理由というわけではないけれどヤスには度々、ショウとの事で愚痴を聞いてもらっていた。 ヤスはいつも優しく、最後まで話を聞いてくれていた。 私の中では兄のような存在にも感じる程に。 この日もそんな風に1日が終わる そう思っていた。 しかしその思いがあんな形で崩れるとは思っていなかった。 缶コーヒーを買って私のアパートの目の前にある公園で語り合っていた。 ショウと日に日に喧嘩が増えていってる事。 それで疲れている事。 いっぱい話をした。 別れも考えている事なんかも・・・。 ある程度、話をすると静かな沈黙が流れた。 ヤスがゆっくりと口を開く。 「付き合ってるってやっぱいいな」 驚きと疑問が同時に押し寄せた。 別れまで考えてるのに? それがいいの? 「え?今の話聞いてた?別れようかな?まで考えてるのに、それがいいの?」 少し笑いながら聞くとヤスはまた、静かに言った。 「俺、結婚する事になったんだよね。 彼女が妊娠してさ。明日、婚姻届出してくる。」 そう話すヤスの横顔が何故か少し寂しそうでどこか不安そうにも見えた。 「なんかあった?」 私がそう言うと驚いた顔で 「え?」 と言った。 それもそうかな・・・ いつも聞いてもらってばかりだったから。
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