期待

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あれから数日。 普段通り仕事をこなし定時で帰宅。 そんな日が続いていた。 「なーるちゃん♪」 人事部で同期の明希君が 今日もルンルンで話しかけてきた。 「今日こそお昼一緒しよ!♪」 チーフの件を断った私に社長賞というのが 渡され、たちまち会社中に話が広がった。 そのせいなのか、会社の独身男性達がほぼ毎日 お昼や退社後の飲み会に誘ってくるようになった。 私は仕事がしたい。 そう思っていたけど、昔の恋を忘れる為には 新しい恋をした方が良いって どこかで聞いた事がある。 でも・・・ 「明希さんに狙われてるらしいですね! 彼、浮気性らしいから 気をつけた方がいいですよ!」 って噂好きな3人組に言われてるし。 と思いながら今日もきっぱりと断る私。 「ごめんなさい。まだ仕事も区切り付かないし お弁当あるから他の方を誘ってください。」 ごねられるがシカト。 彼が立ち去ってからため息をついた。 同じタイミングで斜め向かいのデスクからも ため息が聞こえてきた。 ふと見ると、ヤスがこちらを見ていた。 思わず目を反らしたけど、ヤスは からかうように言ってきた。 「何、お前。ため息つくくらいなら男作れば?」 苛っとした。 (そうですね。あんたを忘れる為に もっと良い男探してやるわ!) 大声で言ってやりたい衝動を必死にこらえ、 営業スマイルで返答する。 「そうですね。合コンに誘われたら 行ってみます。」 ・・・ (シカトかよ!!) 本当にヤスの考えがわからない。 この会話を聞いていたのか、翌日、 営業二課のお姉さん方が合コンに誘いにきた。 「泉ちゃん!あのー突然なんだけど 今日の夜合コンあるの!良かったら行かない?」 1人風邪で会社を休んだらしく 人数が足りなかったとか。 私は行きますと返事をして連絡先を交換。 定時に会社の入り口で待ち合わせをした。 帰り際、入り口でヤスと一緒になったが 何か言いたそうにしていた彼に背を向け 話しかけられる前にと 足早に合コンへとくり出した。
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