期待

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ビールなんて飲むんじゃなかったと翌朝後悔した。 電話の後半を全く覚えていない。 (あれは告白なんかじゃない! またどうせからかってるだけだ!) 自分に言い聞かせた。 その日の夜、バラエティー番組を見ていると 電話が鳴った。 なんとなくヤスかな?と思いながら画面を見て 一気に後悔した。 画面を見なければ良かったと。 「ショウ」 怖くなった。 しばらくして電話が切れたが またすぐにかかってきた。 「はい・・・」 恐る恐る出ると息を切らしたショウの声が聞こえてきた。 「もしもし?俺!ショウだけど!」 「・・・な、何?」 平然を装うつもりだったけど 声が震えてしまった。 「いきなり電話してごめん。 話たい事があって・・・ 今、鳴のアパートの近くまで来てて 会って話せないかな?」 とてもじゃないけど恐ろしくて 途中で電話を切ってしまった。 その後も1度電話が鳴ったが出れなかった。 数分後。 ピンポーン 部屋のチャイムが鳴った。 ホラーにある展開。 (めっちゃ怖い!) もう一度チャイムが鳴りその後 ドアを叩く音が鳴り響く。 近所迷惑を考えつつも怖くて開けられず 次第に涙が出てきた。 その時。 「なる・・・ごめん。 あの時、俺・・・どうかしてた。 ・・・姉妹会社だったから噂とかで 俺の話聞いたでしょ? 俺・・・本当に最低だった。 どうしようもないクズだった。 でも・・・今は目が覚めたんだ! ちゃんと考えた! 俺が好きなのは鳴だけだから! だから・・・頼む・・・ここ開けてくれ。 ちゃんと会って話したいんだ!」 ・・・ 信用出来なかった。 私の中ではとっくに終わった事になってたし もう関わりたくもない。 でもそれを言葉にしたら逆上されそうで 震えが止まらない。
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