期待

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誰かから住所を聞いたのか 夜12時を目前にヤスが来た。 私はきっぱり終わらせるつもりで 彼を部屋に入れた。 ・・・ 終わらせれなかった。 ベッドに横になっていた私はまた涙を流す。 裸の体には彼が付けたキスマーク。 隣から聞こえるシャワーの音。 枕に顔を埋め涙を流す。 後ろからまた抱かれ果てると帰って行く。 そんな関係が何回か続き いい加減ボロボロだった。 最後に自分の中で一つ、賭けをした。 「今日会える? どうしても会いたい」 そう。ラインした。 会いに来たら期待が持てる。 断ったら終わり。 簡単な賭けを。 数分後。 既読になった。 一時間、二時間、三時間・・・。 待っても待っても返事がない。 これは想定してなかった。 翌朝。 結局連絡無し。 最後のガラスが割れた。 私は何も持たないまま 会社の屋上にいた。 期待するだけ無駄 私には期待する事も 拒否する事も許されない こんな関係はこの先、何も生まない こんなの恋愛なんかじゃない 最後の最後に1通だけ。 「・・・こんな関係・・・ もう辞めようか」 まただ。 また既読スルー 私にはもう何も無い 未来も考えられない フワッ 体が一気に軽くなり 目を閉じたはずの目の前が真っ白になった。
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