失った・・・?

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私の葬儀が行われた。 泣きじゃくっている家族。 葬儀場の入り口で呆然と立ち尽くすヤスが見えた。 白装束を身にまとった私は誰にも見えていない。 いきなり走り出し近くの公園で泣き出したヤス。 少し離れた場所で彼を見つめる。 「なんで・・・ なんであの時・・・俺・・・ ショウの事殴ってまでたんかきったのに・・・ なんで手放したんだ・・・・くそっ!」 何かを後悔していた。 ヤスの言葉が気になって彼の中に入ってみた。 当時の記憶を見つけて再生してみる。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ショウが私のアパートで怒鳴られていた。 小走りで立ち去ったショウは近くのコンビニで 誰かに電話していた。 「あ、先輩? やっぱり泉の奴は無理でしたよ。 話すらさせてもらえませんでした。 やっぱりあいつと寄り戻して 会社の姉妹提携戻してもらうより あの社長令嬢にしといた方が良いですって! そもそも、泉にそこまでの権力無いっすよ! 明日、社長令嬢の方に行ってみます。 ・・・はい。おつかれっした。」 呪い殺してやりたかった。 コンビニ脇の 喫煙スペースから飛び出してきた人影が いきなりショウに殴りかかった。 「お前・・・今の何だよ!」 ヤスだ。 「今の電話なんなんだよ!」 凄い剣幕で怒鳴っている。 「いきなり何すんだよ! ・・・!?ヤス・・・本城康か?」 ショウの目が点になる。 ヤスはショウの胸ぐらを掴み睨み付けながら言った。 「お前・・・また鳴を泣かせるつもりか!? いい加減にしろよ!!」 すかさずショウが言い返す。 「てめえに関係ねーだろ!」 喰いぎみにヤスが怒鳴った。 「関係あんだよ!!」 ショウの胸ぐらから手を離した瞬間もう一度 拳が飛ぶ。 倒れこんだショウにヤスはたたみかける。 「鳴に二度と関わるな! あいつは俺が貰う!」 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ (それであの時・・・!?) 私を抱きながら右手を庇う素振りを していたのを思い出した。 快楽は時として理性を見失わせる。 死んだ後ではどうする事も出来ないけれど。 ヤスから抜け出してそっと頬にキスをする。
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