決戦

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「九十九敗しても、最後に一勝すれば、問題  ありませぬ」  リアン・フューミナリは言う。   「悪の平和を取り戻さなくてはなりませぬ」  リアンもかつて、ダークホビットの国を  ヒューマン族に滅ぼされたのだ。その  宰相を務めた家の末裔だった。     エンゾの催促により、ノームのヘンリク・  ビヨルク部隊が、悪軍ではなく、善軍へ突撃  を仕掛ける。仕掛けられたエルフ族の部隊  が混乱し、敗走を始める。    地獄の将軍、クイン・レイモン・シウバが  幕営へ入ってくる。長髪の美男子、黒光りする  鎧がよく似合う。  エンゾの前で跪き、 「予定通り、ノーム族が寝返りました」  エンゾは黙って頷く。 「しかし、このあとも、ゴシ・ゴッシーの  部隊とは正面から当たらず、外堀を  崩すことに専念しまする」     戦闘が始まった午前中は、善軍のほうが  押していたのだ。エンゾ軍総数100万に  対し、善軍側は50万だった。    敵大将のゴシ・ゴッシーは、八千騎の無敵の  白馬隊を率い、竜巻のごとく悪軍の中を  通り過ぎていく、そして、本当に、草ひとつ  残らないのだ。    比較的力の弱いアンデッド兵士は仕方がないと  しても、ダークドワーフやオークはもとより、  前線維持に投入したダークドラゴンや  巨大トロールなどもまったく歯が立たない。    しかし、悪の侍大将たちは、なるべくゴッシー  部隊とは正面から当たらずに、シウバ将軍の  指示通りうまく善戦していた。    だが、善軍には、ゴッシー大将以外にも、  エルフの兄妹、テルオ・リー、アミ・リーの  両将軍、ホビットの3姉妹の部隊、  ドワーフの神聖王と呼ばれたディエゴ・セナ  の部隊など、名だたる将が率いる精鋭  ぞろいだったのだ。     ノーム軍の裏切りにより、リー兄妹が  撤退を決断する。彼らの国の方角へは、  今なら悪軍が群がっていない。    そして、悪軍の暗影の侍大将、プリンス・  グスターヴォ・ノゲイラ率いるダークホース  の黒色騎兵隊五千騎が、最も精鋭と言われた  神聖王のドワーフ部隊へ背後から奇襲を  かける。  
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