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「俺も、夕方早希から連絡もらって、びっくりして…。
それまで何も知らなかったから。おまえ、あれから連絡取ってた?」
「いや」
「そうかぁ。
千波、子宮ガンでずっと治療してたらしい」
「ずっと?……」
「あぁー。
詳しいことは、俺も知らないんだけど…」
ラッシュの中央線は混んでいて、つり革に掴まって揺られながら、やっと暗くなり始めた窓の外をぼーっと眺める。
高橋とは肩が擦り合う距離に立っていたが、混み合った車内は、話をするような環境でもなく、それが今の俺にはありがたくもあった。
頭の中に引っかかっているのは、さっき駅までの道すがら高橋と話した内容で…
千波がずっと、ガンで闘病していたということ。
その『ずっと』と言う単語が頭の中に残ったまま、居座っている。
なんなんだ、ずっとって……。
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