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早希と南と、立川駅で合流した。
俺たちは、大学のサークルで知り合い、大学時代ずっと連んでいた。
大学を卒業して6年。
久しぶりの再会にも関わらず、集まった理由が理由だけに、皆の口は重く閉ざされていた。
そんな空気の中、早希が話し始める。
「岩永くん、ごめんな。知らせんで……
千波、最後まで前向きに頑張っとったよ。
……でもな、岩永くんに会ったら甘えてしまいそうだからって、口止めされててな……。
だから、高橋くんにも、佐伯くんにも知らせられへんで、ほんとごめんな」
去年の秋だった、千波に別れを告げられたのは。
通訳を目指して、フランスへ留学する予定だった千波から、渡航の準備で忙しいからしばらく会えないと言われたたのは、ちょうど一年前。
それから二カ月ほどして、突然メールで、別れて欲しいと伝えられた。
好きな人が出来たからと…
一緒にフランスに行くからと…
そこで、一緒に暮らすからと…
それから、電話もメールも繋がらなくて
俺は、諦めるしかなかった。
なのに、なぜ……
俺はなんで信じてしまったんだろう
なんで見抜けなかったんだろう
あんな嘘を
どうして手放してしまったんだろう
どうして追いかけなかったんだろう
あの時、どうして……
ごめん、ちな
一緒に居てやれなくて……
ごめん……
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