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私と彼の出会いは、仕事のプロジェクトチームが一緒だった。彼は、私より2歳下だった。そのプロジェクトは、3社から出向されたメンバー15名で結成され行われたために、私と彼の会社は違う。このチームの人間関係は悪くない。ビジネスな付き合いといったところだろうか。ドライでもあった。
ただ、彼だけは私を姉のように慕ってくれて、そんな私もそれは嬉しかったから二人で買い物にも出かけたし、飲屋街をはしごしたり、そのまま帰るのがメンドくさくなって、ホテルに泊まったりもした。もちろん、何事もなく、睡眠をとっただけ。だって弟のようだとしか思えなかったし、好きだとか付き合いたいだとかそんな感情が生まれることは一度もなかった。プロジェクトが終わっても、お互い結婚しても、ずっと姉弟でいられると思っていた。
彼には親がいない。詳しい理由は踏み込んでないのだけれど、物心が着いた時から孤児院にいたらしい。親戚もいないし兄弟もいないし彼女もいたことがない。今の彼を見る限り、そうは見えないのだけれど、たまに見せる顔はとても闇を抱えているようなそんな気がした。だから私は、彼が望むような姉でいようと思っていた。
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