朝比奈一心は一生勝てない(短編)

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 僕のやる事も大体終わり、世界は今、新たなステップに向けて一丸となって進んでいる。地球の平和も、地球自身の平和もこれで保たれた、という事だ。 「ソラ、これも君の御蔭だよ」 「そりゃあ照れますな~~♪」 「君が妖精達に基礎をしっかり教えてあげたからこそ出来たからね。僕だけじゃ流石に難しかったよ。アイドリーの基礎教本もそうだけど」 「何にしても、これでアイドリーさんの罰、は終わったのでしょうか?」 「えっとね~~この前受信したらオケマルだって~~♪」 「……そういう事も出来たのか」  どうやら最初から最後まで監視されていたらしい。顔を見合わせて苦笑いしてしまうが、悪い気はしなかった。 (核兵器も全て破棄、浄化させたしな。文句は無いって判断しても良いんだろう)  店内を見渡せば、そこかしこで妖精達の姿が見える。窓の外でも同じく。0~10歳の子供には全員妖精が付いていた。 「さて、僕達も行こうか。今日は久しぶりの2人でのクリスマスなんだ。一杯楽しもう?」 「……はいっ!!」  僕にとって彼女、南 由衣はこの世で最も大切な存在になっていた。  外のイルミネーションを眺めながら歩くと、そこかしこで妖精達のはしゃぎ声が聞こえて来る。上空遥か彼方では都市を丸々覆う程大きな雪の結晶がゆっくりと回る様にして全てを彩っていた。あれも全て妖精達のノリだろうから、国民は気にもせず楽しんでいる。 「じんぐるべ~♪じんぐるべ~♪」 「すずな~らす~~♪」  妖精教はあらゆる者を受け入れる。そして楽しい行事も受け入れる。よって今日はトナカイとサンタのコスプレ姿をしていた。特設ステージでは子供達と一緒に踊っていたり、子供に近寄っては頬摺りしながらその喜びを露にしていた。  やっと帰って来た彼との時間は余りにも少ない。明日にはまた海外へ行かなければならない故に。 (時間が止まれば良いと思わずにはいられませんね……口にしたら実行されそうなので言いませんが)  流石にそれは無理だが、妖精ならばと思ってしまうぐらいには、彼女も毒されていた。
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