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さて、話を戻して罰の具体的な内容ですが。貴方にはこの世界で『妖精』という存在についてのパイオニアになって頂きます。そして生まれて来る子供全てにその声が届けられる様に、最大限『妖精』と仲良くしてあげて下さい。
そうすれば、世界は多分そう遠くない内に夢と希望で溢れます。方法は任せますので、ご自由にどうぞ。ああ、『妖精』達のステータスが見える様に貴方にだけ『鑑定』を付与しておきました。悪意を持って使うと漏れなく死ぬほど痛い事が起こるので気を付けて。
追伸:100年経っても核兵器が消えてなかったら、私が直接乗り込んではちゃめちゃな事をするので宜しく。
『妖精の宴』リーダー アイドリーより 敬具 』
「……」
まさかと思ってテレビを点けてみれば、そこには早速世界中をひっくり返した様な大混乱が起こっていた。生まれた赤子に抱かれる様にして眠っている『妖精』の姿が、世界各地で起こっている速報。
携帯にもクラスメイト達のメールがひっきりなしに掛かり続けている。おそらく僕と同じ様になんらかの手紙が来ているのだろう。
そして無言でほとんど放心している僕の頬をぺちぺち叩いて遊んでいる妖精に眼を向けた。
「君……名前は?」
「ふぇ~?ソラっていうの~~♪」
「そうか。ならソラ、君のステータスを見ても良いかな?」
「ばっちこい♪」
一応の礼儀として断りを入れたので、試しに『鑑定』発動。前と全く同じ感覚で発動した事にも吃驚してしまう。この世界でもスキルの発動が可能だった。そして妖精も魔法が使えるという事は、この世界にも『魔力』があるのだと。
肝心のソラのステータスだが、これは確かにこの世界全ての戦力が一丸になっても敵わないであろう強さだった。
実はこの妖精、後で分かったが且つては妖精郷に暮らしていた者であり、ブラックドラゴンどころか天使をしこたま倒していた猛者である。そのステータスは勇者ですらワンパンチで鎮める威力である事は容易に想像が出来てしまっていた。
僕は全てを理解して、自分が死ねない事を悟ってしまう。ビニル紐は無駄になってしまったな……
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