社畜にアフター5

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(イケメンツンデレ上司など紙の上にしか……いな……)  だめだ。言い切ってしまったら夢すら消えてしまう。 (夢と愛はいつ失った?) 「……らさん」 (正社員ならまだしも、私派遣社員だよね? なんでこんな頑張らなきゃいけないんだ) 「か……さん」 (なんで会社のために身を削っているんだろ。派遣という働き方ってなんだ?) 「辛さん、今日は終了です」 (辛と書いて、カラってなかなか珍しい名前だと我ながら思う……いま呼ばれた?)  ライトテーブルにひっついていた顔をあげると、ただのドSが眼鏡の奥の一重を細めていた。 「え? いまなんて?」 「全員終了です。今日中の仕事がなくなりました」  見れば歓喜の声があちこちから聞こえてきて、すでにカバンを持ってドロン(煙のようにいなくなるの意)している人もいる。  これは夢か?   こんな時間に業務終了とは。親会社である出版社になにがあったんだろう。 ~編集部、コッパミジンコ!  週刊ヤドカリマガジン、最大のピンチ!   次回、え、もう人事異動!?~  トメの文が浮かんで消える。  「今持っているので終了してください」 「ちょうど終わりました」 「修正は?」 「ありますが、3箇所ですし、明日の13時出しなので、明日の朝イチで大丈夫だと思います」     
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