社畜にアフター5

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 笑いながら会社に隣接している警察署の前を通る。警察署の前には必ずお巡りさんが立っている。  お巡りさん、今日定時で上がっているんです。まだ5時半ですよ。今ここで歓喜の舞を披露してもいいですか。  ヘラヘラを絶やすことなく警察署を通過。職務質問されなかったのが奇跡だ。  地下鉄の入り口まで来て、階段を降りる前にもう一度太陽を拝む。 「美しい夕焼けだ」  まだ明るいのに地下にもぐるのは、なにか勿体ない気がしてきた。  沈みかけの太陽が、まぶしい。  気持ちがいいので大きな駅まで歩くことにした。徒歩30分でいける。たまには体を動かさないと、いろいろ支障がでる。そういうお年頃だ。 「まだ5時半~♪」  なんの前触れもなく歌い出すミュージカルの気持ちがいまならわかる。あれは心を解放して全身で気持ちを表現しているのだ。 「駅に着いてもまだ6時~♪」   特殊効果で宙を舞ってもいいくらいだ。 「美しいじ~んせ~い~♪限りがない喜び~♪現実に大切なのは~♪自由になることだけと~♪定時が教えてくれたぁ~♪」  気持ちよく歌っていたら、鼻のなかに鰹節の香りが侵入してきて、心が地上に着地する。 「こんなところに少将軒本店があったのか」     
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