第一章 初恋の花

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して今はカナダで祖母と共に暮らしている。二人ともいわゆる裕福な家庭で育ち、特に千佳はそういう面では何不自由なく今の年齢を迎えていた。ともあれいつもこの二人が肩を並べて歩いていても、街に住む誰もが不思議には思わなかった。いや、むしろ一緒でない方が不自然にさえ感じていた。 『兄妹でもああはいくまい』と二人の爽やかな笑顔は人々の目に、現在(いま)多くの若者たちが失ってきた何かを蘇らせてくれた。 今日もまたいつものように夕陽を受けた二つの影がその身長の倍ほどの長さで地に並んでいた。 その短い方の影が止まった。 『ね、たっちゃん久しぶりに砂浜に降りてみない!?』 千佳は頬に特徴的な小さなえくぼを浮かべて言った。 『そうだね』     
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