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千佳が海を背にして、手についた砂を払いながら達也に言った言葉が、この場での会話の始まりだった。
「そうだね。特に中2の2学期のテストは僕達にとって一番大切な時だもんな」
「たっちゃんは大丈夫よ。頭いいから!普通にやっておけば、何てことないじゃない」
千佳が達也に近づきながら言うと
「そうはいかないよ。
もうそろそろ全国を見なければいけないし………。学校での成績が良ければいいっ てもんじゃないだろ?」
達也は千佳の眼差しに向かって言った。
「あら、それって私たちの学校のレベルが低いっていうこと!?」
「そうじゃないよ」
達也は、はにかみながら近づいてきた千佳の頭を軽く叩いた。
「痛っ!!」
千佳は大げさに飛びのき
「ふふふ………。たっちゃんは本当に冗談が通用しないんだから」
「悪い冗談だよ」
達也は強い口調で言った。「たっちゃんもしかして怒ったの!?」
千佳が心配そうに達也の顔を覗くと、
「ははは、怒ってなんかいないよ。けっこう千佳も冗談通じないじゃないか」
「もう、たっちゃんの意地悪」
千佳は、達也の肩を小突いて
「でもたっちゃんはあんなに陸上でも活躍しているのだから、どこかの学校に誘われるんじゃないの!?」
「それは分からないけど………。でも、楽はしたくないんだ」
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