第一章 初恋の花

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千佳が海を背にして、手についた砂を払いながら達也に言った言葉が、この場での会話の始まりだった。 「そうだね。特に中2の2学期のテストは僕達にとって一番大切な時だもんな」 「たっちゃんは大丈夫よ。頭いいから!普通にやっておけば、何てことないじゃない」 千佳が達也に近づきながら言うと 「そうはいかないよ。 もうそろそろ全国を見なければいけないし………。学校での成績が良ければいいっ てもんじゃないだろ?」 達也は千佳の眼差しに向かって言った。  「あら、それって私たちの学校のレベルが低いっていうこと!?」 「そうじゃないよ」 達也は、はにかみながら近づいてきた千佳の頭を軽く叩いた。 「痛っ!!」 千佳は大げさに飛びのき 「ふふふ………。たっちゃんは本当に冗談が通用しないんだから」 「悪い冗談だよ」 達也は強い口調で言った。「たっちゃんもしかして怒ったの!?」 千佳が心配そうに達也の顔を覗くと、 「ははは、怒ってなんかいないよ。けっこう千佳も冗談通じないじゃないか」 「もう、たっちゃんの意地悪」 千佳は、達也の肩を小突いて 「でもたっちゃんはあんなに陸上でも活躍しているのだから、どこかの学校に誘われるんじゃないの!?」 「それは分からないけど………。でも、楽はしたくないんだ」     
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