第一章 初恋の花

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「簡単に言うよな千佳は、でも僕にとっては結構深刻な問題なんだぜ」 達也は苦笑しながらも、千佳のさらっとした言葉は好きだった。いつでもそうである。千佳が誰かと同じ言葉を言っても、その響きは他人(ひと)とは何かが違っていた。 「お父さんが早く再婚でもしてくれれば心配しなくてもいいけど、何だかそんな気はまだなさそうだし………」 千佳は目を輝かせて。 「ね、たっちゃん、名案があるわ」 「ん………?」 「私がおじさんのお嫁さんになるのよ」 「そりゃ名案だ………!って、アホ!! 「やっぱりダメか」 「何、考えてんだよ」 「おじさんなら私、お嫁さんになってあげてもいいわ。たっちゃん、私がたっちゃんのお母さんになったらどうする?」 「千佳、テレビの観すぎだよ」 二人は声を出して笑った。 「何でもいいけど、茶化すなよ。こう見えても、僕にとってはけっこう深刻な問題なんだぜ」 「ごめんなさい。それにしても、おばさんは綺麗だったし、おじさんと超仲良しだったから、忘れられないのよきっと。生意気なようだけど、なんだか私にもおじさんの気持ちがわかるような気がする」     
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