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「簡単に言うよな千佳は、でも僕にとっては結構深刻な問題なんだぜ」
達也は苦笑しながらも、千佳のさらっとした言葉は好きだった。いつでもそうである。千佳が誰かと同じ言葉を言っても、その響きは他人(ひと)とは何かが違っていた。
「お父さんが早く再婚でもしてくれれば心配しなくてもいいけど、何だかそんな気はまだなさそうだし………」
千佳は目を輝かせて。
「ね、たっちゃん、名案があるわ」
「ん………?」
「私がおじさんのお嫁さんになるのよ」
「そりゃ名案だ………!って、アホ!!
「やっぱりダメか」
「何、考えてんだよ」
「おじさんなら私、お嫁さんになってあげてもいいわ。たっちゃん、私がたっちゃんのお母さんになったらどうする?」
「千佳、テレビの観すぎだよ」
二人は声を出して笑った。
「何でもいいけど、茶化すなよ。こう見えても、僕にとってはけっこう深刻な問題なんだぜ」
「ごめんなさい。それにしても、おばさんは綺麗だったし、おじさんと超仲良しだったから、忘れられないのよきっと。生意気なようだけど、なんだか私にもおじさんの気持ちがわかるような気がする」
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