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だから、あの日。
今まで耐えてきたパパの暴力から初めて逃げ出したあの日。
このままだと殺されると思った。
これまではパパの気が済むと、収まるのに、その日は違った。
いくら謝っても、許してくださいと懇願してもパパは蹴るのを叩くのを止めてくれなかった。
それどころか、私が謝る度にパパは激昂した。
私はパパに恐怖を憶えた。
ママは何度も私を守ろうと泣きながらパパにすがり付いていたけど、パパは聞く耳を持たなかった。
そんなパパを見て、ママもこのままだと私が死んでしまうと思ったのか、パパに体当たりをして、突き飛ばした。
「逃げて。結」
私は走り出した。
痛む体に鞭を打って、必死に玄関を目指した。
何度も蹴られたからか、足が上手く動かなかった。
ママが決死の思いでパパに立ち向かってくれたのにそれを無駄にしたくなかった。
玄関のドアをやっとの思いで開けると、そこにはお隣さんがいた。
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