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その後、結と麻衣は楽しそうにお互いのことを話していた。 繰り広げられる女子トークについていけず、僕は聞き役に徹していた。 時々、僕がいることを思い出すのか、麻衣や結が話を振ってくれる。 それに答えると、僕が気の利いたことを言えないからか、その後はなかなか会話に入れず、また二人の世界を作っていく。 元々僕は口下手なので、しょうがないと言えばしょうがない。 それを抜きにしても、例え、僕が頭の回転が速く、口が達者な人間だったとしても、さすがに女子二人の盛り上がっている話に入るのは容易いことではないだろう。 でも、話を聞いているお陰で結のことを少し知ることができた。 結は中学二年生で年は僕らと5つ離れているということ。 今は夏休みで、始まったばかりにも関わらず、すでに宿題を終わらせたということ。 友達がいたが、家でのこともあり、疎遠になってしまったということ。 母親とは仲がいいこと。 麻衣はなかなか確信に触れることができず、結の父親のことは聞けないみたいだった。 麻衣が仕事のことや別れた彼氏のことを話すと、結は目を輝かせ、興味津々に聞いていた。 それを見て、結も年相応の女の子なんだと感じた。 二人を見ていると、自分の幼い頃を思い出した。 僕の妹の紗友里とも麻衣は仲が良く、こんな風に話し込んでいることがあった。 結とは違い、紗友里も僕と同じで口下手だったが、麻衣は面倒見が良く、ゆっくり言葉を選びながら話す妹の話をいつも真剣に聞いていた。 その時もなかなか話に入れない時があったなと思い出し笑いをしてしまいそうになり、慌てて口元を押さえた。
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