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僕が暗くなってしまった空気を打ち消そうと、話を変えようとしたその時だった。
玄関の鍵が開く音がして、麻衣が姿を現した。麻衣には合鍵を渡してある。
「カレーの良い匂いがする!」
「麻衣さん、お帰りなさい。今日はカレーにしてみました」
麻衣の登場で結の顔がぱっと明るくなったので、僕はほっとした。
「やった!カレー大好きなんだ」
「良かった。お仕事どうだった?」
麻衣はリビングの椅子にぐったり座り込んだ。
「今日も忙しかったよ」
「お疲れ様です。看護師さんも大変だね。でも優しくて、しっかりしている麻衣さんにすごくぴったりだと思う」
「ありがとう。結ちゃんがそう言ってくれて、疲れが吹き飛んだよ」
麻衣の言葉を聞いて、結は嬉しそうに微笑んだ。
「カレーよそうね」
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