6

2/14
前へ
/77ページ
次へ
私がお兄さんと麻衣さんと暮らしはじめてから、数日が経った。 私はお兄さんの家に泊めてもらっていることを申し訳なく思っていた。 お詫びに部屋の掃除をしたり、夕ご飯を作ると提案した。 お兄さんも麻衣さんも最初はそんな気を回さないで良いと言ってくれたが、私の意志が固いことが伝わったのか、渋々了承してくれた。 私は二人が学校や仕事に行っている間は、自分の勉強をし、夕方になると、冷蔵庫にある食材を確認してから、スマホで作れそうなレシピを調べるようにしていた。 元々、料理は調理実習やママのお手伝いぐらいしかしていなかったけど、レシピがあれば、簡単なものなら、料理経験が乏しい私でも何とか作れた。 食材はお兄さんが一週間分をまとめ買いしていたみたいだった。 お兄さんは普段から自炊をしているようで、調味料も一通り揃っていたので、足りないものがなくて、困ることはなかった。 私は今の生活がとても楽しかった。 ご飯を作ると、二人は美味しいと言って、喜んでくれ、私を褒めてくれた。 それが、私のやる気につながり、もっと頑張ろうと思うようになっていく。 私は褒められると伸びるタイプだと言うのを改めて実感した。 それと同時に、つくづく自分は単純な人間だと思った。 二人は私に家事をさせていることに負い目を感じていたのか、私の勉強を見てくれるようになった。 一人で勉強していても、分からないことばかりだったので、正直とても有りがたかった。 麻衣さんは毎日お仕事で疲れているだろうに全くそんな素振りを見せず、お兄さんも自分の勉強もあるのに、率先して私に勉強を教えてくれた。 私はこの二人が本当に兄や姉だったら、いいのにと思うようになっていた。 もし、そうだったら、これからもずっと一緒にいれるのに。
/77ページ

最初のコメントを投稿しよう!

147人が本棚に入れています
本棚に追加