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ホラー映画を初めて見た私は、映画の作りに度肝を抜かれた。 音や映像から、視聴者を驚かそうとしてくる作品の小細工にまんまとはまり、私は悲鳴を上げた。 「大丈夫?見るのやめる?」 そう言いながら、お兄さんは手元にあったリモコンでDVDの再生を止めた。 「ちょっと、びっくりしただけです。続き見たいです」 「わかった。無理しないでね。怖くなったら、止めるから」 彼はそう優しく声をかけてくれたが、私はソファーにかけてあったタオルケットを頭から被りながらも、映画の視聴は続けた。 隣にいるお兄さんを何回かチラ見したが、彼は全く動じていなかった。 時折、私が声をあげる度に、視線を感じたが、私がギブアップと言わないので、止めずにいてくれた。 何とか二時間耐え、エンドロールが流れると、私はほっと息を漏らした。 お兄さんは映画の出来に満足しているようだった。 「まさか、最後あんな終わり方するなんてね。結はどう思った?」 正直、途中から映画の内容なんて覚えていなかった。 「面白かったです」 何とか絞り出した感想を聞いて、彼は優しく微笑んだ。 きっと、彼には私がやっぱり怖くて、ちゃんと映画を見ていなかったことがばれているに違いなかった。
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