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「ごめん。嫌だったよね」
私が少しの間、フリーズしたからか、お兄さんの手が私の頭から離れていった。
「違うんです。嫌とかじゃなくて、その......」
上手く言葉が紡ぎ出せない。
何を言っても、言い訳に聞こえる気がした。
お兄さんがDVDレコーダーからDVDを取り出し、それを黒い袋へ滑り込ませた。
その動作を見つめながら、私は、先程導ちびき出された答えを頭から消そうとした。
私とパパはこれ以上一緒にいたら、ダメになる。
家族なのに。たった一人のパパなのに。
私はこのままだと、パパが嫌いになるかもしれない。
パパはもう私のことが嫌いかもしれないけど。
私は優しかったパパを忘れることができない。
パパとママとの三人の思い出を今更なかったことになんて、できない。
私は覚悟を決めなくてはいけなかった。
このままだと、私はいつかパパに殺される。
そんなことになったら......想像するだけで鳥肌が止まらなくなる。
私は早く決断しないと、いけないのだ。
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